
北海道 大雪山・黒岳(標高1,984m)を歩く | 黒岳石室テント泊とご来光ハイキング
TakedaMayukoShare
北海道の短い夏山シーズン(6月下旬〜9月)を楽しむため、今回は久しぶりにテントを背負って、大雪山・黒岳(くろだけ)へ。
数ある大雪山系の中でも黒岳を選んだ理由は、ロープウェイでのアクセスの良さと、山頂から望む雄大な眺望、そしてテント泊で迎える朝のご来光です。
黒岳(くろだけ)の概要
黒岳は、北海道の中央部にある大雪山国立公園の北東部に位置する標高1,984mの山です。層雲峡温泉からロープウェイとリフトで7合目までアクセスでき、登山初心者にも人気があります。山頂からは大雪山系の山々を一望でき、特に紅葉の時期は絶景です。また、冬はスキー場として利用され、北海道を代表する山岳スキー場の一つです。
夏は高山植物の宝庫で、花の名山として知られます。今時期は「ダイセツトリカブト」が綺麗に花を咲かせており、秋の訪れを感じさせられました。日本で最も早い紅葉が始まり、9月上旬には山肌が赤や黄色に染まります。
積雪期はスキーやスノーシューのフィールドにもなりますが、厳しい気象条件に注意が必要です。夏でも急な天候変化や冷え込みがあるため、防寒装備は必ず持参しましょう。
今回のコース
【1日目】
ロープウェイ・リフトで黒岳7合目までアクセス → 黒岳山頂 →黒岳石室でテント泊
黒岳7合目登山口から黒岳山頂まで : 約1時間30分
黒岳山頂から黒岳石室まで : 約10分
【2日目】
桂月岳(1,938m)でご来光 → 北鎮岳(2,244m)をのんびりハイキング → 下山
黒岳石室テント場から桂月岳 : 約15分
黒岳石室から北鎮岳 : 約1時間50分
距離:約12km
累積上り:951m / 累積下り:1177m / 累積標高差:2128m
ロープウェイとリフトで黒岳7合目登山口へ

ロープウェイとリフトを使って一気に標高1,520mの7合目までアクセス。
この日は、黒岳石室へ行くことだけが目的なので、お昼過ぎからのゆっくり出発。リフト下に咲く、季節の植物にも注目です。今時期はリンドウの花が綺麗でした。
七合目から黒岳山頂へ
黒岳の登山道は整備されており、歩きやすいですが岩場や天候によっては泥濘もあり、しっかりとした登山装備が必要です。前半は樹林帯の中を、つづら折りの後半は周囲の山々の景色を眺めながら。足元には沢山の高山植物が楽しませてくれます。ウメバチソウやチシマヒョウタンボク、ダイセツトリカブトが見事でした。



標高を上げ、振り返ると周囲の山々や層雲峡渓谷も眼下に広がります。

九合目を過ぎて「マネキ岩」が出現。見上げながら歩いていた「マネキ岩」を見下ろすようになってくると、山頂はもうすぐ。

山頂からは「表大雪」と呼ばれる大雪山の山々が視界いっぱいに広がります。
七合目登山口から約1.5時間で、「カムイミタンタラ(神々の遊ぶ庭)と呼ばれる、大雪山の世界観を味わうことが出来る黒岳。久しぶりに背負った、縦走ザックのずっしりとした重さも吹き飛びました。
黒岳山頂から黒岳石室へ
山頂から10分ほど下れば、今夜の幕営地の黒岳石室へ。私が山歩きを始めた時に、憧れの山だった大雪山系の山々。それから初心者の友人と一緒に歩いたり、ここでバックカントリーを体験したりと思い出が沢山詰まった場所でもあります。石室が見えてくる、ここからの景色は、いつ訪れても「ただいまー!」と叫びたくなる風景です。
黒岳石室への道にもチングルマのお花畑が圧巻です。
黒岳石室は黒岳山頂から20分ほどの場所にあり、夏山シーズンのみ管理人が常駐している避難小屋です。ここを拠点にして周辺の山を巡る人や、縦走の中継基地として利用する人も多く、管理人の方々は、天候やルートの相談など親切に聞いてくれるので、「テント泊や山中泊が初めて」という初心者の方にもお勧めです。
避難小屋のため、食事の提供やシュラフ等寝具の貸し出しはありません。石室やテント場、バイオトイレ・携帯トイレブースを使用する際には、協力金が必要です。
黒岳石室に到着後、テントを設営し、体が冷える前にダウンジャケット・パンツを着用。麓は30℃近くありましたが、山の上は15℃前後。すっかり夏から秋へと季節が進んでいました。山岳ガイドの傍、石室管理人を務める友人とも久しぶりの再会。
暖かいお鍋を食べて、お喋りを楽しんだ夜。翌朝はここから15分ほどで登頂できる、「桂月岳」でのご来光を楽しむために、尽きない話を惜しみながら就寝。
桂月岳のご来光と朝の空気
山中泊の醍醐味は、日帰り登山では味わえない、大自然の中での自由な時間と、その場所・その時間でしか見られない風景を堪能できることです。特に、星空観察や朝焼け、夕焼けは、テント泊ならではの魅力。黒岳石室のテント場から桂月岳へは約15分という好立地。日の出時刻の4:30に合わせて、一時間前に行動開始の朝。
ご来光を待ち望むみんなが、静かに東の空を眺める静かな時間。黒岳のシルエットが素敵です。
「雲ひとつない空」も気持ちが良いですが、太陽の光を映す雲がある空が好きです。この日は雲の合間からイクラのような太陽を望むことができました。
黒岳石室から北鎮岳へハイキング
テント場に戻り、朝食を済ませた後はのんびりと北鎮岳(2,244m)までハイキング。ロープウェイもまだ始動しておらず、人も少なく静かな時間。高山植物や山の風景を楽しみつつ、のんびりと。
「雲ノ平」と呼ばれる平坦地は、ここから先のお鉢平カルデラへ続く道。登山道脇には、チングルマの花畑が見事に広がっています。
雲ノ平を超えて、岩場を登ると「お鉢平」の展望台。お鉢平は、大雪山の中央部に位置する約3万年前の噴火により生じた直径約2kmのカルデラです。
「お鉢平巡り」といって、この外輪をぐるっと一周で楽しむことも出来、先日訪れた旭岳からの間宮岳-中岳にも繋がっています。今回は北鎮岳分岐から北鎮岳へ
北鎮岳(2,244m)は、旭岳に次いで北海道で2番目に高い山。続く縦走路の先に、「比布岳(ぴっぷだけ)」「愛別岳(あいべつだけ)」と、迫力のある山々が連なっています。
お天気次第で愛別岳も予定していましたが、時々湧き上がるガスに「今回は欲張らなくていいね」とまたの楽しみにしました。
登山道沿いの「ウラシマツツジ」、早くも紅葉を始めているものもあり、大雪山の上の秋はもうすぐ。ウラシマツツジが紅葉すると、一面赤い絨毯のような景色が広がります。
たっぷりと北鎮岳からの景色を楽しみ、来た道を戻って再び、黒岳石室へ。黒岳から降りてこれから別の山へ向かう人たちや休憩を取る人たちで賑やかでした。
私たちは再び、縦走ザックを背負って黒岳七合目まで歩き、リフトとロープウェイで下山。
下山後は層雲峡温泉郷で、温泉に浸かって汗を流し、楽しい2日間を振り返りながら帰宅しました。
黒岳はアクセスの良さと高山植物の美しさ、テント泊でのご来光体験が楽しめる山です。夏の短い北海道の山旅を満喫するには最適の一座。きっと、次回訪れる時は紅葉が進んでいそうな予感。別ルートでの登山も楽しんでこようと思います。
LINEで最新情報をお届け中
PORTALでは、商品入荷やイベント情報をLINEで配信中です。ぜひ友だち追加して最新情報をご確認ください。