
大雪山の夏の花々を楽しむハイキング|旭岳 (北海道・大雪山系)
TakedaMayukoShare
こんにちは、PORTALの武田です。
2025年7月より北海道を拠点に、山歩きや自然に親しむ日々を再び始めました。これまで歩いてきた宮崎のフィールドとはまた異なる風景や空気に触れながら、北海道の自然の中でも「日々の山歩きの延長線」として、自然や地域をを愛する方々と共に、さまざまなフィールドを楽しんでいきたいと思います。
今後は、PORTALのお客さまにも北海道の自然をご紹介できるよう、宮崎での活動と同様に「FIELD REPORT」として記録を綴ってまいります。
場所が変わっても、自然と向き合う時間や、山歩きを通じて得られる気づきや魅力は変わりません。
今回は、北海道最高峰「旭岳(あさひだけ)」へ。
短い夏の山を楽しみに、地元の友人とともにに歩いてきました。
旭岳(あさひだけ)と大雪山系(たいせつさんけい)
旭岳は、北海道の中央部に広がる大雪山系の主峰で、標高は2,291m。
大雪山系の山々は、森林限界が本州よりも低い約1,500m前後に位置し、その上には広大な高山帯が広がっています。
この山域は、本州の3,000m級の山々に匹敵する高山環境を持ち、多彩な高山植物や、8月下旬には「日本一早い紅葉」が楽しめるエリアとしても知られています。
今回は、そんな旭岳をぐるりと巡る、お花と涼風を楽しむ夏の周回コースを歩いてきました。
日程:2025年7月31日
コース:旭岳ロープウェイ – 姿見の池 – 旭岳 – 間宮岳 – 中岳 – 中岳温泉 – 裾合平 – 姿見の池(周回コース)
天候:晴れ/くもり
気温:17℃〜22℃(麓の気温 30℃)
装備:
・シューズ:LA SPORTIVA「Boulder X MID GTX」
・トレッキングポール:Black Diamond「ディスタンスカーボンFLZ」
・バックパック:GOSSAMER GEAR「Minimalist 19 Daypack」
ウェア:
・パンツ:RIDGE MOUNTAIN GEAR「Basic Hike Pants」
・アンダーウェア:finetrack「Dry Layer Basic」上下
・インナー:Icebreaker「150 Tech Lite Ⅲ Short Sleeve tee」
・ミドルレイヤー:RIDGE MOUNTAIN GEAR「Basic Long Sleeve Shirt -Stripe-」
・キャップ:RIDGE MOUNTAIN GEAR「Hempish Basic Cap」
・ソックス:ROTOTO「Allrounder Merino Crew」
旭岳ロープウェイ : 姿見の池からスタート
旭岳へは麓の「旭岳ビジターセンター」近くの登山口からも歩けますが、山麓駅(標高1,100m)から姿見駅(標高1,600m)を結ぶ旭岳ロープウェイを利用し、まずは主峰旭岳を目指します。
7:00am ロープウェイを降りると、そこから姿見の池までは散策路。姿見の池周辺にも高山植物が咲き乱れ、山を歩かない方々からも人気の散策路です。
旭岳山頂までは登山道が続きます。この日は標高1,600mで気温17.6℃。涼しい風が吹き歩き続けるのにも丁度良い気候です。さっそく足元に現れたのはイワギキョウ。
整備された登山道を登り、振り返ると姿見の池や奥に姿見駅の景色が広がります。この日は雲海も楽しむこともできました。
旭岳山頂までは傾斜が増すものの、雲と空の広がりに励まされながら一歩ずつ。
旭岳は活火山の山。足元は徐々にザレ場となり、火山帯特有の荒涼とした景色に変化していきます。「地獄谷」の噴気孔からも活発に高温の水蒸気と硫黄ガスが噴出。
九州で言えば、霧島連山や阿蘇山のように、地球のエネルギーを感じる光景。
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ひたすら登りが続く登山道を歩くと、今まで目線と同じだった周囲の山々を見降ろせるようになりました。目の前に広がるのは緑濃い十勝連峰の山々や、ニペソツ山やトムラウシ山など以前、日帰り登山や縦走、山中泊で楽しんでいた山々。
高低差約690mを頑張ると、北海道最高峰の旭岳山頂へ
スタート地点の気温が17℃、山頂はさらに涼しく、適度な風もあり、汗をかいたシャツも休憩している間に乾いて快適。最近は異常な暑さが続く北海道ですが、山の上は涼しいだろうと見込んで選んだ、生地感がしっかりしているRIDGE MOUNTAIN GEARの「Basic Hike Pants」が正解でした。
旭岳山頂から間宮岳-中岳へ
標高2,291mの山頂に立つと、間宮岳や中岳への稜線がくっきりと見え、さらに続く道に胸が高鳴ります。旭岳から少し下って、大雪山の中央部にある、かつては火口であった「お鉢平(おはちだいら)」を取り囲む外輪山のひとつ、間宮岳(まみやだけ)-中岳方面を目指します。
お鉢平の縁をぐるりと一周するお鉢平めぐりも人気のハイキングコース。
歩いてきた道を振り返って、下ってきた旭岳を見上げると、やはり人間の足ってすごいなと、毎度思ってしまいます。
再び、景色は変わり足元は砂礫帯に。
もう見頃のシーズンは終わり、ないと思っていたコマクサを発見。
だいぶ終盤ですが、見ることが出来て嬉しかったです。
チシマツガザクラ
大雪山は北海道の中央部に広がる広大な山塊。
日本最大の国立公園である大雪山国立公園を形成し「大雪山に登って山岳の大きさを知れ」という言葉があるように、大雪山系の広大な景色が楽しめます。
私が山歩きを始めた頃に、憧れだった大雪山系の山々。山の上から広大に広がる景色を見ては、あっちにも行ってみたい、向こうにも行ってみたいと、縦走路をどこまでも歩きたくなるようなワクワクする山域です。
クモマユキノシタ
エゾイワツメグサ
中岳分岐から中岳温泉-裾合平-姿見の池-姿見駅(旭岳ロープウェー)
中岳あたりからは、比布岳(ぴっぷだけ)・安足間岳(あんたろまだけ)の迫力の景色。
沢地形を下り、ここからは、砂礫帯で見られない花々が迎えてくれました。
ゴゼンタチバナ
赤い実が可愛いコケモモ
どんどん下っていくと、この日の目的のお花を楽しむことのほかにもう一つのお楽しみポイントが。「中岳温泉」と呼ばれる、中岳の中腹にある野湯...本格的秘湯です。
ここでは大きなバックパックを背負って縦走を楽しまれているご夫妻や、海外からの登山者が湧き出たお湯で疲れた足を癒し、私たちも裸足になって足湯を楽しみ、休息を取りました。
標高約1800mの大自然に湧き出す、源泉100%かけ流しの天然温泉。登山客だけの特権です。地球の営みを間近に感じる、印象的なひとときでした。疲れた足を癒して、裾合平へ。
エゾノマルバシモツケ
「裾合平(すそあいだいら)」は日本最大級ともいわれる、チングルマの群生地。お花の時期はもう終わっており、(毎年7月初旬-中旬頃が見頃)今回は綿毛のチングルマを楽しんできましたが、 これが花を咲かせていると思うと、圧巻のお花畑です。もちろん、風に揺れるチングルマの綿毛が広がる光景も素敵です。
チングルマの綿毛
裾合平には、旭岳ロープウェイの姿見駅舎を出て、ゆるやかなアップダウンを越えると約3時間ほどで到着します。険しい道ではありませんが、レインウェアなどの登山装備を用意して、ハイキングを楽しむことができます。
最後は再び姿見の池の横を通り、ロープウェイ姿見駅まで行って無事に周回コース終了。写真を撮ったり、足湯に浸かったりと、のんびり歩いて約6.5時間(休憩含む)のハイキング。終盤の花もありましたが、山の上に咲く花々や久しぶりの大雪山からの景色を楽しんでまいりました。
私は地元・札幌を離れて以来、旭岳を訪れたのは実に8年ぶり。
深田久弥の『日本百名山』にも選ばれたこの山は、今も多くの人々を魅了し続けています。
一方で、自然現象やオーバーユースによる登山道の崩壊も問題となっており、行程中には修復作業に尽力される方々の姿も。感謝の気持ちとともに、私たち一人ひとりが自然に対して思いやりを持つ大切さを感じました。
高山植物の名前を思い出しながらの山歩き、そして帰宅後に写真と図鑑を照らし合わせる“答え合わせ”の時間も、山旅の楽しみのひとつ。
離れた土地にいても、自然に向き合い、山を歩き、その体験を共有できることのありがたさを改めて感じています。
これからも、PORTALではフィールドで感じたことを綴りながら、自然の魅力や歩くことの魅力をお届けしてまいります。
山歩きを楽しむ方々がフィールドに出るきっかけとなり、装備選びの参考になったり、旅のヒントになったりすれば幸いです。
北海道の自然も、ぜひお楽しみに。
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